伊藤智世

ある日の森の教室。
「いとーさん、一緒に走ろう!」と誘われる。
10メートルダッシュ(してるつもり…)の後、あっという間に失速する私……。すっかり走ることを忘れてしまった私を毎週こりずに誘ってくれる。

その子がいもいもに来たばかりの頃は、人と関わるのが苦手でお母さんと2人で過ごす時間が多かった。

いつの頃からだろうか。
雨上がりの公園を一緒に散歩をしていると「今日はいつもより緑がイキイキしてるね」とまるで自然が仲間のように、大人では感じきれないような感性で伝えてくれるようになった。そして今では、おにごっこで年齢の大きい子に全力疾走で追いかけたりすることも。

決して何かをさせたこともないが、自然と動き出すときが来たのだと思う。それぞれのありのまま、生来誰もがもっている生きる力を、子どもたちに見せつけられている。

本来、誰もが持っている生きる力には優しさと力強さがみなぎっている。
そして、最初は不安そうだった保護者の方にも、子どもたちを信じて温かく見守り続けるうちに柔和な笑顔が増えてくる。
そんな親子を見ているといつも感動してしまう。

そんな感動の瞬間が、いもいもにはたくさんある。その場に居合わせ、感動をいただけることが、本当にありがたい。