

思考力教室いもいも
―― 証明って、こういうことだったのか ――
井本陽久の初等幾何講座
(中高生対象)
社会人になった教え子から、こんなことを言われたことがあります。
「中1のときに受けた、井本先生の幾何の授業。その初日が人生の転機でした。あの日以降の学びは、それ以前の学びとまったく違うものになりました。」
この言葉は、一人からではありません。
栄光学園で三十年以上にわたって数学を教えてきた中で、多くの卒業生たちが、社会に出てから同じようなことを語ってくれました。
その子に起きたのは、幾何が得意になったということではありません。
前提も答えも見えない未知の問いに出会ったとき、自分の頭で根拠を確かめ、仮説を立て、筋道をつくっていく。
まだ誰も分かっていないことに向かうための思考の土台、いわば
未知の問いに向かうためのOS
のようなものが、幾何の授業を通して自然と育まれたのだと思います。
この講座で扱うのは、まさにそのような意味での「考える力」です。
これは、図形を学ぶ講座ではありません
もちろん扱うのは図形です。
しかし、この講座で向き合うのは図形そのものではありません。
一般的な幾何の授業では、定理を学び、証明の書き方を学び、問題を解く、という流れになりがちです。
しかしこの講座では、その流れとは根本的に異なるところから始めます。
そもそも証明とは何か。根拠とは何か。
何をもって「正しい」と言えるのか。
その出発点から、子どもたち自身の手で立ち上げていきます。
論理と思考の2日間
この講座では、初等幾何学を素材にしながら、
根拠とは何か
証明とは何か
思い込みとは何か
正しさとは何か
を探究していきます。
この二日間で目指すのは、正解をたくさん出せるようになることではありません。
自分の頭で考え、自分の前提を点検しながら、未知の問いに向き合うための土台を育むことです。
この授業は、私の教育の原点です
現在、私は「主体性とは何か」「思考力とは何か」「評価とは何か」について発信しています。
振り返ると、その原点はすべてこの初等幾何学の授業の中にありました。
世界に対して、自分の前提を点検しながら、自由に、精密に、深く考えられる人を育てたい。
この講座は、その願いを込めて、私の教育の原点である初等幾何の授業を、あらためて中高生に向けて開くものです。
【対象】
中学1年生〜高校3年生
数学の得意・不得意は問いません。
ただし、自分の頭でとことん考えることを楽しみたい人に向いている講座です。
【開催概要】
【日程】2026年8月20日(木)・21日(金)
【時間】10:00〜17:00
【会場】いもいも四谷本校3階
【定員】12名
【参加費】69,800円(税込)
【持ち物】筆記用具・昼食
※本講座は定員12名の少人数講座です。
この講座は受験対策講座ではありません。
また、図形の知識を増やすことだけを目的とした講座でもありません。
本講座では、「どのように考えるか」の土台となる力を育てていきます。
一般的な幾何の授業では、定理を学び、証明の書き方を学び、問題を解きます。
しかし、この講座はそこを目指していません。
この講座で扱うのは、初等幾何学という素材を通して体験する
「考えるという営み」そのもの
です。
証明が苦手な子どもは少なくありません。
その理由の一つは、
何を書けばよいのか分からない作文
になってしまっているからです。この講座はそこを目指していません。
しかし本来、証明とは作文ではありません。
証明とは、
あらかじめ仮定したいくつかの前提だけを根拠に、何が必然的に言えるのかを一つひとつ確かめていく営み
です。
この講座では、最初にいくつかの前提を明確にします。
そして、それぞれの前提に記号を与えます。
子どもたちは、その前提だけを根拠にしながら、新しい事実を導いていきます。
もし前提にない根拠を使ったなら、その根拠自体をまず証明しなければなりません。
私はこれを、
手持ちの鍵束にある鍵だけで扉を開ける行為
として伝えています。
この講座では、証明を文章ではなく、使った根拠の記号列で表現します。
すると証明は、
「どの根拠を使ったのか」
「どの順番で考えたのか」
が誰の目にも見えるようになります。
証明は作文ではなく、
根拠を操作しながら必然を生み出していく構造的な営み
として体験されます。
私は長年授業をしてきて、本当に価値があるのは正解ではなく、誤答です。
なぜなら誤答には、
その人自身も気づいていない前提や思い込みが隠れている
からです。
この講座では、集まった答案を共有し、
「なぜそう考えたのか」
「どこで飛躍したのか」
「どんな思い込みが混ざっていたのか」
をみんなで探究します。
私はこれを「逆解き」と呼んでいます。
一つの問題が、正解を当てる課題ではなく、思考そのものを味わう探究の場へと変わっていきます。
幾何学は、公理から始まり、定理を積み上げていく学問です。
その構造を体験することで、子どもたちは、
「正しさとは前提の上に成り立っている」
という感覚を自然と身につけていきます。
前提が変われば、正しさも変わりうる。
その感覚を持つことで、子どもたちは「正しさ」に縛られるのではなく、「正しさ」を扱えるようになります。
社会人になった教え子から、
「中1のときに受けた幾何の授業の初日が人生の転機だった」
と言われることがあります。
私はその理由を、この授業が図形を教えているのではなく、
未知の問いに向かうためのOS
を育てているからだと思っています。
前提も答えも見えない問いに出会ったとき、
自分の頭で根拠を確かめ、
仮説を立て、
筋道をつくっていく。
そのための土台が、この授業の中で自然と育まれていくのです。
自分の頭で徹底的に考え抜く、濃密な2日間。
席数に限りがありますので、お早めにお申し込みください。